2009年5月27日水曜日
音楽 : Tokyo Underground (3)
PSF
Japanese Avant-Garde Cassette Reissue Series
PSF Records (Japan) PSFD-182 -new-
80’s中-後期において自身によるカルト・レーベル”Angakok”を中心にテープ作品を発表する一方、Merzbow主宰レーベル発のコンピレーション・テープ・シリーズ「Sexorama」や、米国”Banned Production”発のコンピレーション・テープ・シリーズ「Ne」などへの参加、或いはもうひとつの変名義Haiginshaでの活動などでも知られた、本邦の秘宝イワタ・ヒロナリによる名プロジェクト透過性分子。前記した”Angakok”より発表された同タイトルのテープ作をオリジナルとする奇跡のCD化作。09年本邦の地下脈の殿堂”PSF Records”からのリリース。
持続音の微睡んだ揺らぎや波状音からなる海原状のノイズ・アンビエント作風をはじめ、チューブから放り出したようなフィードバックの脈動や残像を伴う金属打撃音 & 融解したリズム・マシンが介入して律動を編む幻視インダストリアル調、或いはへヴィ・エレクトロニクス的なネガな脈動を伴うバイオニックなコンクレート的アプローチなど、ホームテーピングの艶やかなる芳香濃密な合わせて5曲が収められた本作。宙空へと透けてゆくような静謐と同時に汚濁がかった穢れの類を感知させるミステリアスな音界の妙は、聖も俗も共存させる錬音術師経由のリチュアル相当にあり、不穏げな陰影が充満する一方で実に凛とした有機性も帯同している名作。GrimやS・Core、NordやSelf Terrorらと並び80’sノイズ・インダストリアルの極北に相当する逸在であったと断言したく、本作を期にその全ての作品のCD化を強く希望する一方、無い物ねだりであるやも知れないことを承知の上でも復活を望みたい至宝です。紙ジャケット仕様。(Molehill)
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