2018年12月15日土曜日

音楽 : PEARLS BEFORE SWINE / BALAKLAVA


BALAKLAVA (CD)
PEARLS BEFORE SWINE
DRAG CITY / US / CD / DC710CD / 2018年12月14日

BALAKLAVA (LP)
PEARLS BEFORE SWINE
DRAG CITY / US / LP/ DC710 /2018年12月14日

FUGSにインスパイアされたハイ・スクール時代から曲を書き溜め、フロリダからNYアヴァンギャルドの名門ESP-DISKの門を叩き上京。NYらしいビートニク人脈やLOU REED周りからナッシュヴィルのカントリー・セッション人脈までを行き来しながら、初期にはESPのロック方面を代表した丸メガネの男TOM RAPP率いるサイケデリック・フォーク・ロック・アクトPEARLS BEFORE SWINE。

1854年10月25日、英騎兵の無謀な突撃が凄惨な結果を招いたクリミア戦争最大の激戦地ウクライナはバラクラヴァでの戦い「軽騎兵の突撃」をメタファーに、泥沼化しつつあったヴェトナム戦争へ強い拒絶の意志を示す68年の第2作。奇才TOM RAPPのソフトで緩いヴォーカルとアコースティック・ギターに独自の音響効果が重なり合い、ジャケット・アートワークに描かれているような不思議な空間を展開。

実際にバラクラヴァで活躍した本物のラッパ吹きが1890年代に円筒式シリンダー録音に残した音源を使用したオープニング・トラック"TRUMPETER LANDFREY"、ソロ時代はもちろん近年でも演奏した息の長い代表曲"TRANSLUCENT CARRIAGES"、波音とともにたゆたうアシッド・フォーク名品"I SAW THE WORLD"、LEONARD COHENのカヴァー"SUZANNE"などなど、ナイチンゲールの肉声や自然音も重ねられながら 神秘主義と反戦意識が洗練されたメランコリアの中で溶け合うまさに傑作です。

「最初の2枚はたぶん最もドラッギーな作品だと思われているけれど、その時点では決してドラッグはやっていなかったんだ。その時はウィンストンのタバコを吸っていた。だからこれらはすべてウィンストンが引き起こした幻覚だね。」 --- TOM RAPP

その後のTOM RAPPのソロを含め、彼等の世界観を代表するような16世紀のネーデルランドの画家PIETER BRUEGHEL THE ELDER作品をあしらったジャケットも秀逸です。(Disk-Union)

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