2009年2月4日水曜日

映像 : 佐々木昭一郎の映像作品

『マザー』
•1971年 日本 58分
•出演 : 横倉健児/クリスチャンヌ・ジャヌレー/正津房子/ミナ・ガドゲー
神戸を舞台に母親を知らない少年と国籍の違う様々な人々との即興の出会いから、孤独な少年の心の中の母親像を詩的に綴る。ドラマともドキュメンタリーとも区別がつかない演出は放送当時大きな話題となった。佐々木の映像初演出作品にして傑作と名高い一作。モンテカルロ国際テレビ祭ゴールデン・ニンフ賞受賞作品。

『さすらい』
•1971年 日本 91分
•出演 : 渋沢忠男/友川かずき/栗田裕美/笠井紀美子
育った施設を後にした少年が東京や海辺の街をさすらい、そこで出会った人々とのふれあいを通して大人へと成長していくロードムービー的作品。繊細な少年が大人へと成長する様は役柄や演技を超えたリアルな姿として映し出される。友川かずき、遠藤賢司、笠井紀美子などミュージシャンも出演している。

『夢の島少女』
•1974年 日本 76分
•出演 : 中尾幸世/横倉健児/友川かずき/若林彰
少年は川に倒れていた少女を助け介抱する。少女は祖母と暮らした海のある故郷や東京での孤独な日々の記憶を反芻し、少年は少女の存在が心の支えとなっていく。ある日少女は少年の前から姿を消す。繊細な内面を映し出した映像と、パッヘルベルのカノンが織り成す美しい詩篇。中尾幸世が透明感溢れる少女を演じ、以後佐々木作品のミューズ的存在となる。

『紅い花』
•1976年 日本 71分
•出演 : 草野大悟/沢井桃子/嵐寛寿郎/藤原鎌足
タイトルの「紅い花」以外にも「ねじ式」「古本と少女」(「紅い花」収録)などつげ義春原作をモチーフに描いたドラマ。少女の体から水面に散る紅い花、戦下の古本屋を店番する少女と学生など、幻想的なつげ作品の世界観が佐々木のフィルターを通して映像化されている。冒頭の、川の水面から線路へと流れるように映し出すカメラワークは圧巻。

『四季 ユートピアノ』
•1980年 日本 91分
•出演 : 中尾幸世/古沢貞夫/古沢みよ/横倉健児
ピアノ調律師の栄子が四季を通して、音と共に成長していく姿を描く。幼い頃のピアノとの出会い、家族の不幸など様々な過去の記憶と共に、音や人々との出会いを通して成長していく少女を『夢の島少女』の中尾幸世が生き生きと演じる。ドラマで流れるピアノ演奏、イラストは中尾が担当している。文化庁芸術祭・テレビドラマ部門大賞受賞作品。

『川の流れはバイオリンの音』
•1981年 日本 81分
•出演 : 中尾幸世/ルイジ・チゴーリ/マリオ・ザニボーニ/ジャンルーカ
「音楽は川のほとりで生まれた」という佐々木の発想から生まれた「川(リバー)」シリーズ第1作。川のほとりで暮らす人々の暮らしを、町に響く鐘やバイオリンの音色などの「音」を通して描き出す。舞台は北イタリア、ポー川のほとりの町クレモナ。調律師A子は壊れたバイオリンを直しながら、ポー川の流域に住む人々と交流を深める。

『アンダルシアの虹』
•1983年 日本 81分
•出演 : 中尾幸世/アンダルシアの人々
スペインのアンダルシア地方を舞台にした「川(リバー)」シリーズ第2作。「川を見せないでいかに人間の意識の川を表現するか」というテーマの下に描かれた意欲作。あふれる音や色を求めて旅するA子(栄子)と、アンダルシア地方の人々とのふれあいから生まれる意識の「流れ」が描かれている。

『春・音の光』
•1984年 日本 91分
•出演 : 中尾幸世/スロバキアの人々
「川(リバー)」シリーズの第3作。チェコスロバキアを舞台に、母なる川・ロン川の流れを感じ、モーツアルトの旋律があふれる首都・ブラチスラバの町を歩く EIKO(栄子)の姿を通して、人間の生きる姿を「音」と「川」に託して描く。「川」第1作目を見て感動した、チェコのテレビ局からのラブコールで誕生した、日本とチェコによる共同制作作品。この作品以降、佐々木とチェコのスタッフとの共同制作が始まる。

『東京オン・ザ・シティー』
•1986年 日本 61分
•出演 : オルガ・ストルスコヴァ/藤井草平/竹村朋子/長谷川陽子
チェコスロバキアの首都プラハから来日したガラス工芸デザイナー、オルガは花屋の少年 草平や、チェロを弾く少女、近所に住む人々と交流をする。師走の東京を舞台に、楽器・チェロがキーワードとなった映像詩。主演のオルガ・ストルスコヴァはチェコのシナリオライターで、本作の脚本も担当。

『夏のアルバム』
•1986年 日本 81分
•出演 : キルシィ・カスティネン/藤井草平/館野泉/フィンランドの人々
フィンランドの短い夏と人々のあたたかさを描いた作品。音響設計師の父と共にヘルシンキにやってきた少年は地元の村に住む少女と出会い、一夏を過ごす。少女の耳にいつも聞こえる氷が砕ける音が、ドラマの「音」の主題となり、作品に透明感を与えている。NHK・フィンランド放送協会共同制作。

『クーリバの木の下で』
•1987年 日本 91分
•出演 : 木佐貫邦子/オーストラリアの人々
主人公アキコは「クーリバの木の下でトランペットを吹きたい」という言葉を残し連絡が途絶えた恋人を探すため、単身オーストラリアへ渡る。羊の毛を刈り旅をする若者やヘリコプターで診察に向かう医師など雄大な大地を生き抜く人々との出会いを通して、アキコの気持ちは徐々に和らいでいく。

『鐘のひびき プラハからヒロシマへ』
•1988年 日本 76分
•出演 : オルガ・ストルスコヴァ/藤井草平/イトカ・ハラコーバ
日本とチェコスロバキアを舞台に、鐘の音に包まれて生きる人々の姿を、事実とフィクション、現代と過去を交錯させて描く。広島にチェコの鐘をつるし、平和の音を響かせようと夢みた建築家ヤン・レツルの想いと、平和のシンボルである鐘が戦争中は国に提供され武器に姿を変えた歴史的事実を織り込み、名もない人々が鐘の音に託した平和への願いが描かれる。NHK・CSTプラハテレビ共同制作。

『七色村』
•1989年 日本 91分
•出演 : マルタ・ヴァンテュロバ/三田佳子/津田充博/草野大悟
チェコスロバキアを訪れた指揮者は少年時代に慕っていたチェコの女性を思い出し、母や、疎開をした村での出来事を回想する。太平洋戦争の最中に佐々木が単身疎開した和歌山県の七色村での実体験を基に描かれた作品。NHK、チェコスロバキア、プラハテレビ共同制作。バンフ国際テレビ祭特別賞ほか受賞作品。

『ヤン・レツル物語 広島ドームを建てた男』
•1991年 日本 101分
•出演 : ビクトル・プライス/田中好子/ヒロコ・グレース/堤真一
チェコスロバキアの建築家で広島ドーム(原爆ドーム)を建てたヤン・レツルの物語。日本に渡り20年に渡り建築に携わったヤンの芸術家ゆえの苦悩と孤独、愛を描く。現存するヤンの手紙や日記を基に1900年初頭の横浜の町並みが綿密に再現されている。 NHK、CSTチェコ・プラハテレビ共同制作。


『パラダイス オブ パラダイス 母の声』
•1993年 日本 60分
•出演 : 毬谷友子/池辺晋一郎/橋本光成/村田和美
年老いた母親と2人で暮らす作曲家は、幼少時の記憶をたどり、太平洋戦争末期に、老女に導かれパラダイスと呼ばれる山奥をさまよった幻想的な体験を思い出し、やがてそこでの体験を元にした美しいシンフォニーを作り上げる。主演を世界的な作曲家で多くの佐々木作品の音楽を手掛ける池辺晋一郎が演じる。

『八月の叫び』
•1995年 日本 91分
•出演 : 大竹しのぶ/武藤英明/ヴィエラ・クバンコヴァー/ダナ・モラフコヴァー
東京とプラハを舞台に、傷ついた過去を持つ男女が繰り広げる愛の物語。想いを寄せるチェリストを追ってプラハに来た女性は、彼のかつての恋人の謎の死を解く鍵が彼にあることを知る。二人の間で交わされた言葉「スプルース」を巡り展開されるミステリー仕立ての作品。大竹しのぶが一途な想いを貫く女性を好演。大劇場でオペラを歌うシーンでは美しい歌声を披露し、劇場スタッフから絶賛されたという。

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