2013年12月21日土曜日
美術 : 横尾忠則
横尾忠則のポスター・カレンダー「Clear Light」(1974)
17世紀イギリスの詩人、ジョン・ミルトン(John Milton,1608-1674)の旧約聖書の創世記第三章をテーマとする叙事詩「失楽園(Paradise Lost,1667)」が映画化されるらしい。アダムとイヴの楽園追放は、1966年に公開されたジョン・ヒューストン監督の創世記の第一章から二十二章までを描いた映画「天地創造(The Bible: in the Beginning)」の中でも描かれていたが、「失楽園」はそのアダムとイヴの楽園追放に至る背景、神と堕天使との壮絶な闘いを描いたものであり、その人間の想像力を超えたスペクタクルをその細部にいたるまで精緻なペン画によって視覚化したギュスターヴ・ドレ(Paul Gustave Doré, 1832-1883)の木版画を下敷きにし、横尾忠則(Yokoo Tadanori, 1936-)氏が得意のコラージュ技法を駆使し、キリスト教、ヒンズー教、仏教的イマジェリーを取り混ぜ、横尾的精神世界として、掛け軸仕立ての1975年カレンダーとして制作した「クリア・ライト(Clear Light)」。その横尾氏の精神世界への接近は、ビートルズのインド思想への傾倒に触発されたものであるらしく、年譜によれば、ビートルズが修行のためにインドを訪問した1968年に渡米し、その際にインドの仏画やポスターを大量に購入したとある。その後、キリスト教や仏教的イメージにも関心を広げ、ドレの図像については、1973年のポスター「千年王国」の中に取り込み、その後も“はいづか印刷”関連のポスターの中で繰り返し使われることとなる。「クリア・ライト」では、ドレのイメージがライトモチーフとして扱われており、そこにサイケデリック調の色彩を施すことで、横尾ワールドに変容せしめている。
●作家:横尾忠則(Yokoo Tadanori, 1936-)
●種類:Poster/Calendar(1975)
●サイズ:1030x680mm
●技法:Offset
●限定:5000
●発行:東京プランニング(Tokyo Planning)
●制作年:1974
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