2012年5月22日火曜日

音楽 : SEASTONES




1975年に発表された、デッドのPhil LeshとNed Laginによるエレクトリックアルバム。 Jerry Garcia, Mickey Hart, Spencer Dryden (New Riders of the Purple Sage), David Crosby (Crosby, Stills, Nash & Young), Grace Slick (Jefferson Airplane)も参加。オリジナルイシュー。

Round Record Rx-106

グレイトフル・デッド(Grateful Dead)のフィル・レッシュ(Phil Lesh)がマサチューセッツ工科大学出身の実験音楽家ネッド・ラージン(Ned Lagin)と組んで75年に発表したアルバムで、「海洋生物学の音像化」に挑んだ大傑作です
グレイトフル・デッドのフィル・レッシュがジャズや現代音楽に親しんでいたのはデッドヘッズの間では有名な話で、私が以前熱中していた音源トレードで手に入れたフィル自身の最古の音源は、58年の大学でのジャズ・オーケストラのものです(時代が時代なので音はモコモコで聴けたもんじゃないですが)。
曲は71~74年にかけてネッド・ラージンが作り、ミッキー・ハートの農場やボブ・ウイアーのスタジオ、そしてマサチューセッツ工科大学で試行錯誤を重ねたそうです。
ジェリー・ガルシア(Jerry Garcia)、デヴィッド・クロスビー(David Crosby)、グレース・スリック(Grace Slick)、デヴィッド・フレイバーグ(David Freiberg)、ミッキー・ハート(Mickey Har)、スペンサー・ドライデン(Spencer Dryden)といった気心の知れた豪華なベイエリアの仲間が参加しています。
しかし、ほとんどの演奏は「誰がどこで何をやっているのか分からない」ほどプクプクと湧き上がっては弾ける泡のような音色に処理され、更に過剰なまでのドローンとフィードバックによって、気分がいい時には「海の中を漂うクラゲ」のような気分、もしくは「泡沫から生命が誕生する物語」を連想させてくるファンタジックなものですが、気分が悪い時には「癌細胞の分裂」もしくは「脳味噌崩壊」を連想していまいバッドな方へ落ちていくだけです(最も気分が悪いと聴く聴きたくなるようなレコードではありませんが)。
このようなキャプテン・ビーフハートもお辞儀するような前衛作品のため、ある意味では「保守的」なデッドヘッズにはまったく理解されず、グレイトフル・デッドのライブでも74年に「Phil and Ned」名義で4回しか披露されませんでした。
アタシャ20年ほど前に本作にはまりまくって、数ヶ月ほど毎日黄昏時のBGMにしていたのですが、久し振りに聴いてみたら確かにほんわかとしたデッドヘッズよりも、現代音楽、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやフランク・ザッパの過剰な部分に魅力を感じる人向けの音楽ですね。
「海洋生物学の音像化」には見事に成功していますし、「深海に棲む未知の生物のドキュメンタリー」を観ているような視覚効果も生む大傑作です(万人向けじゃありませんが)。
究極の「ヘッド・ミュージック」!

【収録曲】

Side One
I 3:30
II (Vocals) 4:02
III A 4:38
III B 5:36
IV A (Vocals) 0:18
IV B (Vocals) 2:08
V A 0:38
Side Two
V B 4:40
VI (Vocals) 5:36
VII 13:34

【参加メンバー】

Ned Lagin piano, percussion, computers, synthesizers, keyboards
Phil Lesh bass
Jerry Garcia electric guitar, vocals
David Crosby vocals, 12-string guitar
Grace Slick vocals
David Freiberg vocals
Mickey Hart gongs
Spencer Dryden cymbals

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