昭和10年5月10日発行
表紙/見返し/題扉の木版は 小穴隆一装 / 都築導貞刻
永井荷風「断腸亭日乗」11月26日の記述に、山田一夫の第1創作集「夢を孕む女」の通読感を「・・・、其文章構想両つながらこの書の如く余を感動せしめたるものは無し。往年谷崎(潤一郎)君の刺青(籾山書店梓)を読みし時、又初て北原白秋君の散文小品をよみし時の如き感動を催し得たるなり。」とあり、後日著者へ「「夢を孕む女」著者宛」の書簡で、二十年前 谷崎、北原を読んだ時の感動が「今日御高著を一読致候て近年覚えし事なき感動を催申候、・・・」との賛辞を呈した。
また、本書については、昭和10年5月17日「断腸亭日乗」に「・・・夜喫茶店きゆぺるにて京都の山田黄道(一夫)氏に逢ふ。其新著配偶贈らる。」とある。
仏文学者・生田耕作は、生前の山田一夫と一度だけ面識があり(昭和42,3年頃)、その折本書表題作「配偶」の推敲原稿を託され、のちに(平成元年<1989年>)生田耕作が主催した「奢灞都館」から山田一夫作品集「耽美抄」を刊行する。
収録作品【(作者)序/配偶/笹百合/邯鄲/Radio/昨日の花/修好記/怪談/耽美抄/蛙/頤和園志】
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